(目的)
第一条
この法律は、取引先企業の倒産の影響を受けて中小企業が倒産する等の事態の発生を防止するため、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による中小企業倒産防止共済制度を確立し、中小企業の経営の安定に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
一
資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第二号の三までに掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二
資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業(第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二の二
資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業(第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二の三
資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三
資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
四
企業組合
五
協業組合
六
事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合であつて、政令で定める要件に該当するもの
2
この法律において「共済契約」とは、中小企業者が独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)に掛金を納付することを約し、機構がその中小企業者の取引の相手方たる事業者につき次の各号のいずれかに該当する事態(以下「倒産」という。)が生ずることに関し、この法律の定めるところにより共済金を貸し付けることを約する契約をいう。
一
破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てがされること。
二
手形交換所において、その手形交換所で手形交換を行つている金融機関が金融取引を停止する原因となる事実についての公表がこれらの金融機関に対してされること。
三
前二号に掲げるもののほか、過大な債務を負つていることにより事業の継続が困難となつているため債務の減免又は期限の猶予を受けることを目的とするものと認められる手続であつて、その開始日を特定することができるものとして経済産業省令で定めるものがされること。
3
この法律において「共済契約者」とは、共済契約の当事者のうち機構以外の者をいう。
4
この法律において「早期償還手当金」とは、機構が、貸付けを受けた共済金の償還を完了すべき期限前にこれを完了し、かつ、当該共済金の全額をその償還期日までに償還した共済契約者に対し、第十条第六項の規定により支給する手当金をいう。
5
この法律において「一時貸付金」とは、機構が、臨時に事業資金を必要とする共済契約者に対し、第十条の二第一項の規定により貸し付ける資金をいう。
6
この法律において「解約手当金」とは、機構が、共済契約を解除した者に対し、第十一条第一項の規定により支給する手当金をいう。
7
この法律において「完済手当金」とは、機構が、貸付けを受けた共済金の全額をその償還期日までに償還した共済契約者に対し、第十一条の二第一項の規定により支給する手当金をいう。
(契約の締結)
第三条
引き続き一年以上事業を行つている中小企業者でなければ、共済契約を締結することができない。
2
現に共済契約者である中小企業者は、新たな共済契約を締結することができない。
3
機構は、次に掲げる場合を除いては、共済契約の締結を拒んではならない。
一
共済契約の申込者が第七条第二項の規定により共済契約を解除され、その解除の日から一年を経過しない者であるとき。
二
共済契約の申込者が偽りその他不正の行為によつて共済金若しくは一時貸付金の貸付け又は早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金の支給を受け、又は受けようとした日から一年を経過しない者であるとき。
三
前二号に掲げるもののほか、当該共済契約の締結によつて中小企業倒産防止共済事業の適正円滑な運営を阻害することとなるおそれがある事由として経済産業省令で定める事由があるとき。
第四条
共済契約は、掛金月額を定めて締結するものとする。
2
掛金月額は、五千円以上であつて五千円に整数を乗じて得た額とする。
ただし、第九条第二項ただし書の政令で定める額の十分の一に相当する額(以下「掛金納付制限額」という。)の四十分の一に相当する額を超えてはならない。
(契約の申込み)
第五条
共済契約の申込みは、掛金月額を明らかにしてしなければならない。
(契約の成立)
第六条
共済契約は、機構がその申込みを承諾したときは、その申込みの日において成立したものとみなし、かつ、その日から効力を生ずる。
(契約の解除)
第七条
機構は、次項に規定する場合を除いては、共済契約を解除することができない。
2
機構は、次に掲げる場合には、共済契約を解除しなければならない。
一
共済契約者が経済産業省令で定める一定の月分以上について掛金の納付を怠つたとき。
二
共済契約者が偽りその他不正の行為によつて共済金若しくは一時貸付金の貸付け又は早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金の支給を受け、又は受けようとしたとき。
3
共済契約者は、いつでも共済契約を解除することができる。
4
共済契約者が死亡し、解散し、分割(その事業の全部を承継させるものに限る。以下この項及び第十二条第一項において同じ。)をし、又はその事業の全部を譲り渡した場合において、第十二条第一項の規定による承継がなかつたときは、当該共済契約者に係る共済契約は、当該死亡、解散、分割又は事業の全部の譲渡しの時に解除されたものとみなす。
5
共済契約の解除は、将来に向かつてのみその効力を生ずる。
(掛金月額の変更)
第八条
機構は、共済契約者から掛金月額の増加の申込みがあつたときは、これを承諾しなければならない。
2
機構は、共済契約者からの掛金月額の減少の申込みについては、経済産業省令で定める場合を除き、これを承諾してはならない。
3
前二項の申込みは、増加後又は減少後の掛金月額を明らかにしてしなければならない。
4
第六条の規定は、掛金月額の増加又は減少について準用する。
(共済金の貸付け)
第九条
機構は、共済契約者の取引の相手方たる事業者につき倒産が発生したときは、共済契約が効力を生じた日から倒産の発生の日までの期間が六月未満であるとき及び倒産の発生の日までに掛金が納付された月数が六月未満であるときを除き、共済契約者に対し、その請求により共済金を貸し付ける。
ただし、その請求の時に共済契約者が中小企業者に該当しない場合及び次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一
請求が倒産の発生の日から六月を経過した日後にされたものであるとき。
二
貸し付けることとなる共済金の額が少額であつて経済産業省令で定める額に達しないものであるとき。
三
共済契約者につき倒産又はこれに準ずる事態として経済産業省令で定める事態が生じているとき。
2
前項の共済金の貸付額は、貸付けの請求があつた日における納付された掛金の合計額から次に掲げる額の合計額を控除した額の十倍に相当する額と倒産に係る取引の相手方たる事業者に対する売掛金債権その他の経済産業省令で定める債権(以下「売掛金債権等」という。)のうち回収が困難となつたものの額(共済契約者とその取引の相手方たる事業者との取引関係が経済産業省令で定める要件に該当する場合にあつては、その額と共済契約者の取引関係の変化による影響を緩和するため緊急に必要な資金の額として経済産業省令で定めるところにより算定した額との合計額。以下同じ。)とのいずれか少ない額の範囲内において、共済契約者が請求した額とする。
ただし、当該貸付額と請求の日において既に貸付けを受け、又は受けることとなつた共済金の額から既に償還した共済金の額を控除した額との合計額が政令で定める額を超えてはならない。
一
既に貸付けを受け、又は受けることとなつた共済金の額の十分の一に相当する額
二
既に次条第五項(第十条の二第六項において準用する場合を含む。)の規定により償還又は納付に充てられた掛金の額
三
倒産の発生の日の前日の六月前の日から貸付けの請求があつた日までの間に掛金月額の増加の効力が生じた共済契約に係る貸付けにあつては、納付された掛金のうち当該増加分に相当する掛金の合計額
四
倒産の発生の日の翌日以後で、かつ、納付期限の経過後に納付された掛金(前号に規定する増加分に相当する掛金を除く。)であつて、経済産業省令で定める期間を超える延滞があつたものの合計額
3
前項ただし書の政令で定める額は、取引先企業の倒産の影響を受けて倒産する等の事態をその貸付けを受けることにより中小企業者の大部分が避けることができると見込まれる資金の額等を勘案して定めるものとする。
4
機構は、共済金の貸付けを請求した共済契約者が既に貸付けを受けた共済金の償還を怠つているとき又は当該売掛金債権等を有することとなつたこと若しくはその回収が困難となつたことにつき当該共済契約者に悪意若しくは重大な過失があつたと認められるときは、共済金の全部又は一部につき、貸付けをしないことができる。
5
機構が共済契約者に共済金の貸付けをすべき場合において、償還を受けるべき一時貸付金又は納付を受けるべき利子若しくは第十条の二第五項の違約金があるときは、機構は、当該共済金の貸付額から次に掲げる額の合計額を控除することができる。
一
当該一時貸付金のうち当該共済金の貸付けの時に当該一時貸付金がなかつたと仮定した場合に貸し付けるべき一時貸付金の貸付限度額を超える額
二
当該一時貸付金のうち前号の額に相当する部分の利子及び違約金の額
(共済金の貸付けの条件等)
第十条
共済金は、無利子とし、その償還期間は、その貸付額に応じて、十年(据置期間を含む。)を超えない範囲内において政令で定める期間とする。
2
機構は、経済産業省令で定める場合を除き、共済金の貸付けについて、担保(保証人の保証を含む。)を提供させないものとする。
3
機構は、共済金の貸付けを受けた者が共済金をその償還期日までに償還しなかつたときは、その者に対し、その延滞した額につき年十四・六パーセントの割合で償還期日の翌日から償還の日の前日までの日数によつて計算した額の範囲内において、違約金を納付させることができる。
4
機構は、災害その他やむを得ない事由により共済金の貸付けを受けた者が共済金をその償還期日までに償還することができないと認めるときは、その償還期日を繰り下げることができる。
5
機構は、共済金の償還期日後経済産業省令で定める期間を経過したのちなお償還を受けるべき共済金又は納付を受けるべき違約金があるときは、納付された掛金をもつて、その共済金の償還又は違約金の納付に充てることができる。
6
共済契約者が共済金の貸付けを受けた時にその償還を完了すべきものとされた期限(第四項の規定により償還期日が繰り下げられたことにより当該期限が延長された場合にあつては、当該延長された期限)前にこれを完了した場合において、当該共済金の全額をその償還期日までに償還したときは、機構は、経済産業省令で定めるところにより、共済契約者に経済産業省令で定める額の早期償還手当金を支給することができる。
7
機構が共済契約者に早期償還手当金を支給すべき場合において、償還を受けるべき共済金若しくは一時貸付金であつて償還期日を過ぎたもの、納付を受けるべき利子であつて納付期日を過ぎたもの、第三項若しくは次条第五項の規定により納付を受けるべき違約金又は第十三条の規定により返還を受けるべき共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金があるときは、機構は、当該早期償還手当金の額からこれらの額を控除することができる。
(一時貸付金の貸付け)
第十条の二
機構は、共済契約者が臨時に事業資金を必要とするときは、共済契約者に対し、その請求により一時貸付金を貸し付ける。
ただし、貸し付けることとなる一時貸付金の額が少額であつて経済産業省令で定める額に達しない場合は、この限りでない。
2
前項の一時貸付金の貸付額は、その請求の時に共済契約が解除されたと仮定した場合に支給すべき解約手当金の額の範囲内において経済産業省令で定める額を限度とする。
3
一時貸付金には貸付けに関し必要な経費を勘案して経済産業省令で定める率により利子を付し、その償還期間は、二年を超えない範囲内において経済産業省令で定める期間とする。
4
機構は、一時貸付金の貸付けについて、担保(保証人の保証を含む。)を提供させないものとする。
5
機構は、一時貸付金の貸付けを受けた者が一時貸付金をその償還期日までに償還しなかつたときは、その者に対し、その延滞した額につき年十四・六パーセントの割合で償還期日の翌日から償還の日の前日までの日数によつて計算した額の範囲内において、違約金を納付させることができる。
6
前条第五項の規定は、一時貸付金の償還期日後経済産業省令で定める期間を経過した後なお償還を受けるべき一時貸付金又は納付を受けるべき利子若しくは違約金がある場合に準用する。
(解約手当金)
第十一条
共済契約が解除された場合において掛金が納付された月数が十二月以上であるときは、機構は、共済契約者に解約手当金を支給する。
2
第七条第二項第二号の規定により共済契約が解除されたときは、前項の規定にかかわらず、解約手当金は、支給しない。
ただし、経済産業省令で定める特別の事情があつた場合は、この限りでない。
3
解約手当金の額は、次項の規定により算定される掛金総額に、掛金が納付された月数、共済契約の解除の事由等を基礎として政令で定める割合を乗じて得た額とする。
4
掛金総額は、共済契約の解除の時における納付された掛金の合計額から既に貸付けを受け又は受けることとなつた共済金の額の十分の一に相当する額と既に第十条第五項(前条第六項において準用する場合を含む。)の規定により償還又は納付に充てられた額との合計額を控除した額とする。
5
機構が共済契約者に解約手当金を支給すべき場合において、償還を受けるべき共済金若しくは一時貸付金、納付を受けるべき利子若しくは第十条第三項若しくは前条第五項の違約金又は第十三条の規定により返還を受けるべき共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金があるときは、機構は、当該解約手当金の額からこれらの額を控除することができる。
(完済手当金)
第十一条の二
中小企業倒産防止共済事業の収支の状況並びにその収入及び支出の見通しからみて、その収支が将来にわたつて均衡を保つに足り、なお余裕財源が生じていると認められる場合には、機構は、経済産業省令で定めるところにより、貸付けを受けた共済金の全額をその償還期日までに償還した共済契約者に、第三項に規定する額の完済手当金を支給することができる。
2
前項の余裕財源が生じているかどうか及びその余裕財源の額は、経済産業省令で定めるところにより計算しなければならない。
3
完済手当金の額は、償還された共済金の額の十分の一に相当する額に、第一項の余裕財源の額並びに共済契約者のうち共済金の貸付けを受けるものの割合及びその共済金のうち償還期日までに償還されるものの割合の予想等を基礎として政令で定める割合を乗じて得た額とする。
4
機構が共済契約者に完済手当金を支給すべき場合において、償還を受けるべき共済金若しくは一時貸付金であつて償還期日を過ぎたもの、納付を受けるべき利子であつて納付期日を過ぎたもの、第十条第三項若しくは第十条の二第五項の規定により納付を受けるべき違約金又は第十三条の規定により返還を受けるべき共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金があるときは、機構は、当該完済手当金の額からこれらの額を控除することができる。
(承継)
第十二条
共済契約者について、相続、合併若しくは分割又はその事業の全部の譲渡しがあつたときは、その包括承継人又はその事業の全部の譲受人(以下「承継人等」という。)は、経済産業省令で定める期間内に機構に申出をし、その承諾を得て、当該共済契約者の有していた地位を承継することができる。
2
機構は、次に掲げる場合を除いては、前項の承諾を拒んではならない。
一
当該承継人等が中小企業者でないとき。
二
前項の規定によりその地位を承継されることとなる共済契約者につき償還すべき共済金若しくは一時貸付金、納付すべき利子若しくは第十条第三項若しくは第十条の二第五項の違約金又は次条の規定により返還すべき共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金がある場合において、当該承継人等がこれらの償還、納付又は返還の義務を引き受けないとき。
三
当該承継人等につき第三条第三項各号に掲げる事由があるとき。
3
第一項の規定による承継をした共済契約者につき、掛金月額が掛金納付制限額の四十分の一に相当する額を超えることとなるときは、その掛金月額は、掛金納付制限額の四十分の一に相当する額とする。
4
第一項の規定による承継をした共済契約者につき、第十一条第四項の規定の例により算定される掛金総額が掛金納付制限額を超えることとなるときは、その掛金総額は、掛金納付制限額となるものとし、機構は、その超えることとなる額をその者に返還する。
5
機構は、前項の場合においては、その返還すべき額から次の各号に掲げる額の合計額を控除することができる。
一
償還を受けるべき一時貸付金のうち承継の時に当該一時貸付金がなかつたと仮定した場合に承継人等に貸し付けるべき一時貸付金の貸付限度額を超える額
二
当該一時貸付金のうち前号の額に相当する部分の利子及び違約金の額
6
前三項に定めるもののほか、承継に関し必要な事項は、政令で定める。
(共済金等の返還)
第十三条
偽りその他不正の行為によつて共済金若しくは一時貸付金の貸付け又は早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金の支給を受けた者がある場合は、機構は、その者から当該共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金又は完済手当金を返還させることができる。
(掛金の納付)
第十四条
共済契約者は、第三項から第六項までに規定する場合を除き、共済契約が効力を生じた日の属する月から共済契約が解除された日の属する月までの各月につき、その月の末日(共済契約が解除された日の属する月にあつてはその解除の日)における掛金月額により、その月の末日(共済契約が効力を生じた日の属する月分及びその翌月分の掛金にあつては、共済契約が効力を生じた日の属する月の翌々月末日)までに掛金を納付しなければならない。
2
掛金は、分割して納付することができない。
3
共済契約者は、掛金を納付することにより第十一条第四項の規定の例により算定される掛金総額が掛金納付制限額を超えることとなるときは、その超えることとなる額につき掛金を納付することができない。
4
第十一条第四項の規定の例により算定される掛金総額が掛金月額(掛金月額の増加又は減少があつたときは、その増加後又は減少後の掛金月額)の四十倍に相当する額に達している共済契約者は、経済産業省令で定めるところにより、機構に通知して、掛金を納付しないことができる。
5
第九条第一項の規定により共済金の貸付けを受け、又は受けることとなつた共済契約者は、機構の承諾を得て、当該共済金の償還に係る据置期間の範囲内の期間に限り、掛金を納付しないことができる。
この場合において、機構は、その納付しないことにつきやむを得ない事情があると認めるときに限り、その承諾をするものとする。
6
共済契約者は、既に貸付けを受け、又は受けることとなつた共済金の額から既に償還した共済金の額を控除した額と第十一条第四項の規定の例により算定される掛金総額の十倍に相当する額との合計額が第九条第二項ただし書の政令で定める額に達している場合には、機構に申し出て、当該合計額が当該政令で定める額未満となるまでの期間に限り、掛金を納付しないことができる。
(前納)
第十五条
機構は、共済契約者が、その納付すべき月の前月末日以前にする掛金の納付(以下「掛金前納」という。)をしたときは、経済産業省令で定めるところにより、その掛金の額を減額することができる。
2
掛金前納がされた掛金については、その納付すべき各月の初日が到来した時に、それぞれその月の掛金が納付されたものとみなす。
(割増金)
第十六条
機構は、共済契約者が掛金をその納付期限までに納付しなかつたときは、その者に対し、その延滞した額につき年十四・六パーセントの割合で納付期限の翌日から納付の日の前日までの日数によつて計算した額の範囲内において、割増金を納付させることができる。
(納付期限の延長)
第十七条
機構は、災害その他やむを得ない事由により共済契約者が掛金をその納付期限までに納付することができないと認めるときは、その納付期限を延長することができる。
(先取特権)
第十八条
解約手当金又は完済手当金の支給を受ける権利を有する者は、解約手当金にあつては第十一条第三項に定める解約手当金の額(機構が当該解約手当金の額から同条第五項の規定によりその額を控除することができる金銭があるときは、当該解約手当金の額からその金銭の額を控除した残額)、完済手当金にあつては第十一条の二第三項に定める完済手当金の額(機構が当該完済手当金の額から同条第四項の規定によりその額を控除することができる金銭があるときは、当該完済手当金の額からその金銭の額を控除した残額)につき、機構の財産について他の債権者に先だつて弁済を受ける権利を有する。
2
前項に規定する解約手当金の額の算定については、第十一条第四項中「貸付けを受け又は受けることとなつた共済金」とあるのは、「貸付けを受けた共済金」と読み替えて同項を適用するものとする。
3
第一項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(時効)
第十九条
解約手当金又は完済手当金の支給を受ける権利は五年間、掛金の納付を受ける権利は二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(期間計算の特例)
第二十条
共済金の貸付け又は早期償還手当金、解約手当金若しくは完済手当金の支給の請求に係る期間を計算する場合において、その請求が郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便により行われたものであるときは、送付に要した日数は、その期間に算入しない。
(課税の特例)
第二十一条
この法律の規定に基づき掛金を納付した共済契約者については、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、法人税又は所得税の課税につき特別の措置を講ずるものとする。
(経過措置)
第二十二条
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
(検討)
第二十三条
掛金の額、共済金の貸付額その他中小企業倒産防止共済制度に関する基本的事項は、少なくとも五年ごとに、中小企業倒産防止共済事業の収支状況及び利用状況の推移及び予想等を基礎として検討するものとする。